観た映画のあらすじや感想を好きに書いているサイトです。あくまで個人的な感想としてネタバレも若干含めて書いているので、その辺りはご容赦下さい。
<あらすじ>
とある田舎町の県立高校で映画部に所属する前田涼也は、クラスの中では地味で目立ず、いわゆる“スクールカースト″の最下層に位置する存在。
自らが監督した作品がコンクールで表彰されても、クラスメイトから声も掛けてもらえないほどであったが、映画に対する情熱は誰よりも強かった。
そんなある日、いつもと変わらず放課後に部活やお遊びのバスケ等、それぞれの日常を過ごしていた生徒達のもとに、学校で一番人気があるバレー部のキャプテン桐島が部活を辞めるという情報が流れる。
それをきっかけに、各部やクラスに動揺が走り、やがて徐々に人間関係の歪みが広がり始めていく。
<感想>
この映画の面白いところは、タイトルにある『桐島』が部活を辞める事による校内の人間模様を描いているにも関わらず、その桐島本人が作中に全く登場しないところです。
周りの人間達の行動や会話によって、あたかも桐島が存在するかのごとく、物語が進んでいきます。
なので、桐島の人物像はもう想像するしかなく、これが私の中では楽しめる要因の一つとなりましたね。
そして、この映画で描かれているのは、我々が過去に経験してきたような、本当に普通の高校生活であり、ただの日常の風景です。それなのに最後まで飽きずに観れてしまうんですから、良く出来た作品なんだと思います。
クラスの中心である、スクールカースト上位の人間達と、目立たないオタク気質のスクールカースト下位の人間達(この映画では、映画部の生徒達がこれに当てはまります)。上位の生徒達は美男美女で、いつも一緒に楽しそうに会話し、中には付き合っている子達もいます。それに対し、下位の子達は容姿も微妙で、どこか暗い印象。
これらが非常に上手く表現されていて、「あぁ、高校の時ってこんなんだったなぁ」と懐かしい気分になりました。
下位の人間は上位の人間と会話すらできず、同じクラスメイトなのにまるで別人種のよう。この辺りも、どのクラスにもありそうな光景です。
そんな上位の生徒達が、桐島が部活を辞めると聞いた事で何故か大慌てし、下位である映画部の生徒達はそんな事は関係なく、自分達の活動を楽しんでいる。
この描写がとても印象的でした。所詮、上位の生徒達も、容姿は良くても実は中身は空っぽで、桐島という人気者と一緒にいる事である種のステータスを感じていたんだろうなぁと。それと比較すると、下位であるはずの映画部の生徒達の方が、他人の目を気にする事もなく自分達の好きな事にのめり込んで、学校生活を楽しんでいるように見えます。
大人になると、実はこういう子達の方が、人生上手くいってたりするんですよね。往々にして。
ラストのシーンで、桐島の親友の弘樹が映画部長の涼也の前で涙を流す場面がありますが、クラスで目立たなくても、映画という好きなものがあって、将来目指すものがある涼也に対し、クラスの中心にいても、自分には一生懸命になれるものが無く空っぽである事を感じて、涼也が羨ましくて流した涙なんだろうなぁ。
何だか、こういうのも含めて、青春って感じでいいなぁと感じます。この映画観ていると、もう一回高校生活を味わいたくなってきますね。
こういうのって、大人になったからこその感情なんでしょうね。そういう意味では、この映画は今の中高生が観ても余り響かなそう。これは大人だからこそ楽しめる映画ですね。
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