私の映画鑑賞記

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観た映画のあらすじや感想を好きに書いているサイトです。あくまで個人的な感想としてネタバレも若干含めて書いているので、その辺りはご容赦下さい。



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2011年製作(日本)
監督:山下敦弘
脚本:向井康介
音楽:ミト
きだしゅんすけ

【主要キャスト】
 妻夫木聡(沢田雅巳)
 松山ケンイチ(梅山(本名:片桐優))
 忽那汐里(倉田眞子)
 石橋杏奈(安宅重子)
 韓英恵(赤井七恵)
 中村蒼(柴山洋)
 古舘寛治(中平武弘)




<あらすじ>
1969年、東大法学部に在籍していた沢田は、東大安田講堂事件を間近で目撃する。
その経験がきっかけでジャーナリストを目指した沢田は、その後「週刊東都」の新米記者となるが、左翼活動家たちへの共感と、ジャーナリストに求められる中立性との狭間で日々葛藤を抱いていた。

1971年、沢田の元に梅山と名乗る活動家の青年が接触してきた。
彼は自らを「京西安保」の幹部であると主張し、「自衛隊から銃を強奪し、武器を揃えた上で行動を起こす」と沢田らに伝えた。

梅山を紹介した先輩記者・中平は「あいつは偽物だ」と決めつけるが、沢田は梅山に妙な親近感を覚え、個人的に梅山との接触を増やしていく。

やがて梅山は「赤邦軍」という組織を作り、自衛隊朝霧駐屯地を襲撃して武器を奪う計画を立案する。
それを明かされた沢田は、梅田に対し「計画を実行した時は、自分に独占取材させてほしい」と頼む。

<感想>
本作は、1971年に実際に起きた「赤衛軍事件」を題材とした映画です。

1970年前後を舞台とした、安保闘争を描いた映画は数多くありますが、それらを観ると、当時の日本の若者がとても熱く、世の中を変えてやるという気概を持って生きていたかのように描かれています。
実際に、その信念を持って活動していた学生達もたくさんいたことでしょう。

しかし、この映画に出てくる「梅山」という活動家は、実に空虚で、言葉は勇ましいけど、行動が伴っていない活動家として描かれています。
口では「革命」を叫びながらも、その先に何を目指すかという理想がなく、それを仲間に指摘されると、「お前は敵だ!」と喚き散らす。
おまけに自分はいつも後ろに隠れ、面倒な事は全て仲間に押し付けるという、いわゆる「革命家気取り」な人物を、松山ケンイチさんが演じています。

妻夫木聡さん演じるジャーナリストの沢田は、先輩記者と共に梅山を取材しますが、その先輩記者は、梅山の話を聞いて「奴は偽物だ」と、その本性を見破ります。
先輩記者だけでなく、同志である筈の京大全共闘の議長からも、その覚悟の無さを咎められる梅山。

人生経験のある者からすれば、彼の言葉には中身がなく、空っぽに思えたんでしょうね。
しかし、沢田だけは梅山に共感してしまい、その結果、深みにはまり取り返しの付かない事態に陥ってしまいます。

私も観ていて、この梅山の言葉や行動には一切共感できず、むしろ怒りすら覚えます。

明らかに自分に酔っていて、理想論を振りまいていても、その後どうするかのビジョンはゼロ。
そんな彼が、いざ行動を起こすも失敗し、その後の責任は全て他の仲間に擦りつける。
もはや活動家云々の前に、人としてどうなんだという気持ちにさせられます。

対して沢田は、ジャーナリストでありながら、取材相手に感情移入し過ぎてしまう人物として描かれています。
冒頭で取材相手の商売品であるウサギを死なせてしまうのですが、その時のやり取りが、後の彼の運命を暗示しているかのようでした。
そういう人間だったからこそ、梅山の言葉をそのまま信じてしまったんだろうなぁ。

まぁ、私は当時は生まれてもいませんでしたが、この頃って、こういう梅山のような活動家気取りの学生も大勢いたんだろうなぁと推測できます。

世論もこの頃は左翼運動に寛容的でしたし、何よりマスコミは完全に左翼側についていた時代です。
こういった時代背景の中では、左翼運動はカッコいいものとして、特に理念も無くノリで参加した人もたくさんいたのではないでしょうか。

この梅山もそのうちの一人なのでしょうが、その行動の結果、一人の自衛官を殺害してしまいます。

これが明確な理想と詳細なビジョンを持った活動家ならまだしも(それでも許されませんが)、こんな人物に殺されたとあっては、この自衛官の無念たるや如何ほどかと、悲しい気持ちになりますよ。

なお、こうした左翼活動は、この事件から約半年後に起こる「浅間山荘事件」と、それをきっかけに発覚した「山岳ベース事件」により、急速に世論の支持を失っていきます。

何だか、こういう映画を観ていると、大勢の普通の大学生が革命を考えていたなんて、想像も出来ませんね。
でも、この時代を描いた映画としては、活動家を英雄としてではなく、ただの惨めな青年としてリアルに描いている点が非常に興味深かったです。

この時代をよく知らないであろう若い人にも観て欲しいですね。


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