私の映画鑑賞記

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観た映画のあらすじや感想を好きに書いているサイトです。あくまで個人的な感想としてネタバレも若干含めて書いているので、その辺りはご容赦下さい。



日本の黒い夏-冤罪

2001年製作(日本)
監督   :熊井啓
脚本   :熊井啓
製作   :豊忠雄
製作総指揮:中村雅哉
音楽   :松村禎三

【主要キャスト】
 中井貴一(笹野誠部長)
 北村有起哉(浅川浩司(コージ))
 加藤隆之(野田太郎(ノロ))
 細川直美(花沢圭子(ハナケイ))
 遠野凪子(鳥尾エミ)
 斎藤亮太(山本ヒロ)
 石橋蓮司(吉田警部)
 寺尾聰(神部俊夫)




<あらすじ>
1995年6月、長野県松本市に住む高校生の島尾エミと山本ヒロは、放送部の活動として、松本サリン事件の報道について検証するドキュメンタリーを制作していた。

NHKをはじめとするテレビ局が軒並み取材を拒否する中で、地元テレビ局の「テレビ信州」だけは取材に応じてくれた。

報道部長の笹野は、エミ達に対し、なぜあのような事件報道が為されたのか、その原因を静かに語り出した。

長野県警は、事件の第一通報者である神部俊夫の自宅を家宅捜索し、押収した薬品の中に猛毒の青酸カリがあった事に注目した。
他のマスコミは「青酸カリから毒ガスを発生させた」と決めつけ一斉に報道するが、裏付けのない情報であったため、テレビ信州は報道取り止めの判断を下した。

その後、事件の原因となった毒ガスが生物兵器「サリン」と断定。
「サリンはバケツで薬品を混ぜ合わせることで、誰でも簡単に作ることができる」との大学教授の証言をテレビ信州が放送した事で、神部氏は一方的に犯人と決めつけられ、世論の大バッシングを浴びる事になる。

<感想>
1994年にオウム真理教が引き起こした「松本サリン事件」。当時、第一通報者の一般市民が警察やマスコミ、世論によって犯人に仕立て上げられました。
本作は、長野県在住の高校生が、この事件を通して報道の在り方を問うドキュメンタリー映画を製作するため、地元テレビ局に取材を申し込むという設定です。

女子高生のエミが、テレビ信州の笹野部長に事件の事を質問し、笹野部長がそれに対して、当時の状況を答えていく形で物語が進んでいきます。

この映画、観る前は事件そのものを前面に出したサスペンス風なストーリーなのかなと勝手に考えていたんですが、実際に観てみると、上記のように報道の在り方をテーマとした作りになっていて、まるで教材ビデオのような印象を受けました。

でも、決してつまらない作品という訳ではなく、当時どのように事件が扱われていたかをすごく丁寧に描いているように感じました。
この映画を元に、ネットや書籍等で調べてみると、事件についてより理解できると思います。

自身の妻がサリンを吸い込んで苦しみ出し、それを通報しただけなのに、彼が農薬などの薬品類を大量に所持していたというだけで怪しいと疑われ、「市販の薬品とバケツで誰でもサリンが作れる」と証言した大学教授の話を、マスコミは検証もせずに大々的に報道。
これにより世論も過熱し、もはや彼が犯人に決まっていると断定しているかのような空気になっていきます。

この「空気」というものが如何に恐ろしいものか、この映画を観ると嫌というほど思い知らされます。
ここまで来てしまうと、もはや真実であるかどうかは関係なく、疑われた本人も、その苦しみから逃れるためなら罪を認めてしまおうという気持ちになってもおかしくありません。
(現に、この疑われた人物も、そうなりかけたと劇中で話しています)

おまけに、そのせいで真犯人逮捕が遠のき、その結果、「地下鉄サリン事件」が起こった事を考えると、決して軽く考えてはいけない事案です。

この映画を観て思うのは、マスコミの報道を根拠も無しに鵜呑みにするのではなく、先ずは自分の頭で考えるのが大事であるという事ですね。難しい事だとは思いますが…。

それは昔に限らず、今でも通じる話だと思いますので、そういう意味でも、こういった映画は観る価値がありますね。


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